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大入札会 特集記事Ⅲ アンフォルメル
思文閣大入札会 特集記事Ⅲのテーマは「アンフォルメル」 抽象や前衛美術を語る際、必ずといっていいほど耳にする言葉ではないでしょうか。今回は、「アンフォルメル」を軸に、今井俊満や堂本尚郎、白髪一雄やアンフォルメル旋風の立役者のひとり、サム・フランシスを取り上げ、そのつながりと芸術を紐解いてゆきます。
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Lot310 今井俊満 Feu d'artifice
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Lot310 今井俊満 Feu d'artifice(撮影協力:アルフレックス ジャパン)
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さて、このアンフォルメルに参加した日本人画家には、堂本尚郎(1928–2013)がいました。日本画家・堂本印象(1891–1975)を伯父に持つ尚郎は、もともと日本画を描いていましたが、1955年にパリに渡り、そこでの経験を経て次第に油彩画の制作へとシフトします。翌年、今井俊満の紹介でタピエと知り合い、アンフォルメル運動に参加することになりました。
今回の出品作品は、いずれも日本へ帰国後のものですが、貧しい生活の中、同志の画家たちと励まし合って制作に勤しんだアンフォルメル時代は、技法や画風のみならず、精神面でも堂本尚郎という画家の成立に欠かせない経験だったことでしょう。ここで得た表現を、自らの内面に落とし込むことによって、今回の出品のような、堂本尚郎ならではの抽象絵画が完成していったのです(Lot 304・311)
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Lot304 堂本尚郎 作品(撮影協...
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Lot311 堂本尚郎 作品(撮影協...
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Lot309 白髪一雄 作品
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Lot307 サム・フランシス 作品(撮影協力:アルフレックス ジャパン)
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アメリカ(ニューヨーク)やフランス(パリ)、そして日本、大戦後の世界各地で共時的に盛り上がっていった抽象絵画・前衛芸術運動の、ひとつのスパークポイントとして、アンフォルメルがあったといえるでしょう。ちょうど、今井の作品が Feu d'artifice(花火)というように、パリの夜空に上がった大輪の花ということができるかもしれません。その熱き芸術的衝動とそれが生み出す感動は、世界各地に、そして後世の我々へとたしかに伝えられています。
今回ご紹介した作品を含め、思文閣大入札会増刊号への出品作品は、思文閣銀座にてご覧いただけます。
初夏の風が心地よい季節、ぜひお運びくださいませ。
5月19日~5月25日 10:00~18:00 最終日は17:00まで
思文閣銀座 <Google Maps>
大入札会 特集記事Ⅲ アンフォルメル
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