3、布袋
白隠にとって、布袋は自身の分身ともいえる重要な画題でした。白隠は積極的に在家の人々と交流し彼らを教化することが悟後の修行であるという思想を、曲芸や人形使いなど、庶民に親しみのある芸をする布袋の姿を通じて表現していました。本作は、布袋が袋に上っているところ。袋に乗った布袋が座禅を組んだり、説法をしたり、皿回しをしたりといった画は残されていますが、この布袋はこれから何をしようとしているのでしょうか。
本作は雑誌「墨美」にも紹介されており、それによれば長野県飯田市の個人の所蔵品だったようです。白隠は宝暦7年(1757)73才の時に八か月間飯田地方を巡錫したと記録されており、断定はできないまでも、その時に描き与えたものの一つと考えられます。
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